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想像の、旅に出よう




ゲームブック
混沌の迷宮

ゲームブック【ミラー・ドール】の続きですが、初めての冒険としても楽しめます。
冒険の舞台は混沌の地下城砦と呼ばれる、危険な地下迷宮を旅します。
冒険には様々なルートがあり、未知の冒険が君を待ちます。

発売日:2009年5月31日

項目数:400
著者:杉本ヨハネ
絵:かわらべ

¥1,480(税込み価格)

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レビュー投稿者:ププププーさん様

「混沌の迷宮」は前作「ミラー・ドール」の続編的な作品に当たります。
「ミラー・ドール」を遊んだことのある方で、クリアした方はキャラクターを継続して使用することが可能となっています。
しかもアイテムの持越しが可能。アイテムの中には今回も充分に役立ってくれるものは結構あります。
一方で、では「ミラー・ドール」を遊ばなくては内容が判らないか・十二分に楽しむことは出来ないのか、という問題もあるかと思うのですが、 前作と大きく絡む内容ではあるものの、きちんと説明もありますし前作を知らなくても楽しむことは充分可能です。

ゲーム難易度については一回や二回でクリアするのは難しいでしょう。
能力値が少なめでも上手く避ければ強制的な戦闘は少ないので何とか進めるかもしれず、ラストボス等も勝つための抜け穴は用意されています。
手に入るたくさんの情報、アイテム等は豊富で、それを使うためにパラグラフジャンプしたり、頭を使ったりと結構腐心することになります。 意地悪なトラップも用意されており、楽しく死ぬことが出来ますので、キャラクターシートはコピーすることをお奨めしておきます。


タイトル通り、物語は混沌の迷宮というダンジョンの冒険となります。
序盤から神秘的な少女フキと出会うのですが、がりがりに痩せた細い腕を振り回して、ゴーブの街で叫び続けていると言う、実に印象的な登場を果たします。 彼女の奇行は後の大きな伏線であり、「ミラー・ドール」を読んだときも思ったことですが、こういうインパクトのありすぎるイベントは実に杉本=ヨハネ氏の真骨頂ではないかと思えます。
彼女の奇行、それが何を意味しているかは物語を進めて真相も含めて判ってくることです。
混沌の迷宮は序盤のインパクトが強烈なので、冒険心を強くくすぐられます。ここまで必死に訴えてくる依頼人はあまりいませんし、 本来ゲーム的に見ると依頼内容はそれ程派手なものではありません。が危機感を煽らせる秀逸な出だしだと思います。

中盤遭遇するであろう怪物、かなりのインパクトを残すはずです。その名もカオス・マスター。
表紙には実に気持ち悪いカオス・マスターの姿が映っており、味わい深い敵役です。 この怪物との遭遇は危険で避ける事は不可能ですが、奇妙なユーモアもありただの敵役とは言い難い存在となっています。 カオス・マスターは物凄い変態さんで強い。真っ当に戦いますと、このゲームブックでも最強クラスなのは間違いありません。 そしてカオス・マスターとは長い対峙の時間が待ち受けています。戦闘になるとは限りません。
そこで待っているのは死のゲーム。「君」は命懸けのゲームを挑みます。
中盤最高に盛り上がるこのシーン、実は一番難易度の高いあたりです。そうです、上手く情報を繋げて、カオス・マスターをたぶらかせて…そうしないと待っているのは「君」の破滅です。


そして、後半ではミラー・ドールからの伏線が現れます。
「君」が初めての冒険でも問題ありませんが、「ミラー・ドール」で涙を流したであろう「君」をここに連れてこられるのであれば…多分、物語は大きく繋がります。印象的なフキの件、あのかわいそうだったドールの件。ここである種の完結が待ち構えています。
この作品も難易度が結構高めですので、頑張ってクリアさせてください。

「ミラー・ドール」でも、「混沌の迷宮」でもある種の命を生み出す苦しみを描いた作品となっています。造った側の神のような力とは裏腹に、創られた側は苦しみぬきます。本作でもフキやカオス・マスターでも…創られた側であり、狂気と苦しみと悲しみを含んでいるように思います。
心を砕いて対話できるフキと違って、カオス・マスターには同情する余地等あまり無いのは確かです。それでも何か斃(たお)したときにやるせない思いがするのは…何故でしょう。
私自身は何作か杉本=ヨハネ作品を遊んできましたが、こういうメッセージ性の部分はヨハネ節の真骨頂とも言えるのではないかと考えます。海外製ゲームブック系ではこういうメッセージ性の内容はまずありませんし、国産の作品では…あまりここまで狂気に近いものに触れ込まないので…こういう濃い側面のあるゲームブックに出会えたのは幸運でした。