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FT書房

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想像の、旅に出よう




ゲームブック
魔の王の少年

幼き少年が呪われし自らの運命に立ち向かう物語。

目玉である新システムの悪魔召喚システムは、
プレイヤーを召喚術師に見立てたリアルな召喚方式になっている。

本書を購入すると、悪魔召還の呪文が掲載された【悪魔召還の書】
(約100ページ、文庫本型、50点の悪魔イラスト付)がセットでついてくる。


発売日:2009年5月31日

項目数:623
著者:清水龍之介
絵:藤澤ユキ
カバー:Simon=Lee=Tranter

¥1,480(税込み価格)

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レビュー投稿者:不空検索様

 読んでると中世ヨーロッパ風の不気味な森や古城の世界へ容易にトリップさせられる。匂いも含めて描写がしっかりしてて臨場感がすごい。
(長文で話をしている人物が話の要所で言葉が切れて、表情変わってから続きを言ったりとか、細かいとこで目端が利いてる)


  なんつーか世界設定が硬派だ


  なんだろう。なぜだろう。文章も平易で敷居が低いし、裸の悪魔ねーちゃんとかお色気ムンムン魔女とかフツーに出てきたりするのに「ポップポップしさ」がまるでない。
  週刊少年ジャンプや少女りぼんとは真逆の‥‥おとぎ話のような。‥‥大人向けのおとぎ話? 全時代普遍性? 昔の人が読んでも未来の人が読んでもそれなりに楽しめる感じの世界設定で流行やブームとは完全無縁なガチ硬派系。

  噛めば噛むほど味が出る。‥‥っていうかシブいw

  「スターライト・レーザァー!」しゅびびーっ☆
みたいなチャラけた要素が一切含まれない設定内容そのもののせいもあるが、(魔法はある。が、全然チャラくない古代な魔法だ)




  語り口の
「朝食を摂っていくように引き留められ、それを二人で食べている時も、もう少し居ても構わないとか、まだ森は危険だといってしきりに名残惜しんでくれる」
「原牛の群れは一頭残らず、逃避行を果たした。――彼らが昨晩感じた危機のみからの逃避であるならば」
  等の(短い文量で多くを詰めなきゃならない編集上の都合もあったのかもしれないが)、間接話法の多用と、小じゃれていながらも正統派でコンパクトな文飾が『質実剛健!』な読み味を加速させているのかもしれない。
(もっと言おう‥‥語り口がクラシックなのだ‥‥!)

  俺は大好きだけどね。アクが強すぎてもちょっと引いちゃうし、中身スカスカでも虚しくなるし、こーいう質素なベクトルに全力で作りこむ職人チックなのが‥‥見た目の派手さに欠けていようとも‥‥確かな味わいがあって大変に良い。


いわゆるゲームブックというやつで、選択肢に応じて話が分岐する、プレイヤー参加型の読み物なのだが

旅の冒頭あたり、一人でさまよう深い深い森の中「東にいく道は上り坂。西への道はゆるやかな下りとなっている。どちらが入り口へ戻る道で、どちらが先へと続いているのかは解らない。どちらを行こうか」っていうヒントが無い選択肢を突きつけられて、それを迷いながらも決断して、その責任を取らされる心細さや不安定感などは(間違えると貴重な食料が無駄に減ってしまう)
「”守られてない一人旅”のニュアンスがよく出てるなぁ‥‥」と感心してしもうた。ほんっとーにノーヒントで決断のよすがが皆無なんだよねぇ・・・・でもって間違いの咎はキッチリ自分が負わねばならないという。

  あとは道端で出会う人物がこちらに一方的に害をなしてくる悪い人だったり、はたまた親切に心にかけてくれる温かい人だったりするのだが、

悪人の中には「困ってるように見えたから助けたところただの悪人でこちらに襲いかかってきた」ような、本当にどうしようもなくこちらを傷つけるだけの悪人もいるわけよ。

なんだろう。清濁あわせのむ、の如き作者の人生観なのかなぁ。だけどその分、温かい人々の親切や好意が骨の髄まで染み渡ってくる



だいたいそういった親切や温情に割く文量・描写の細かさの方が、逆の悪意の描写よりも、圧倒的に沢山のエネルギー費やされてて相当胸をうつんだよね。
悪意に胸動かされる度合いが2だとしても、温かみに胸動かされる度合いが8はある感じ。

ここらへんは性善説だよな。シンプル・ありがちと切り捨てればそれまでだが、やはり胸がすっとくるし心が落ち着く。感動も大きい。

『嫌なことも苦しいこともあるけど、世界にはこんなに優しい人々がいて君を支えてくれるんだぞ』
っていうメッセージが物語全体からにじみ出てる気がしt・・・・って言うのはさすがに俺のうがちすぎかw
でも温かさは出てるね。これは絶対に。


ゲームバランス自体は辛いといえば辛いと言えるが知力や工夫でガクッと簡単に進める抜け道がどこかに必ず用意されているから作業っぽくなくて苦しくない。



硬派な書き味と物語世界、それに辛口に見えても頭を使えば簡単になるゲームバランス。
「読み手が能動的に働きかけた分だけ、それに見合うだけの『味』を返してくれるシブい本」

それが俺の大雑把な印象かな。楽しむ余地が豊富なんだ。